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Channel: ライブレポート – MusicVoice(ミュージックヴォイス)
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バンもん!、バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIに改名し新たなステージへ

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 アイドルグループのバンドじゃないもん!が9日、ZEPP TOKYOで全国ツアー『バンもん!おったまげ!肝試しツアー!~お分かりいただけただろうか~』の最終公演を開催。同ツアーは8月15日の恵比寿LIQUIDROOM公演を皮切りに全15公演をおこなったもの。この公演で彼女たちは「バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI」にグループ名を改名することを明かした。バンもん!として最後の公演となったこの日は、新曲、メドレーを含む全18曲を披露し観客を魅了した。【取材=長澤智典】

今日がツアー最後の肝試し

バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI(撮影=石崎祥子)

 夏の景色を知らせるように、場内には、夜の田園風景の中で生を謳歌する蛙の鳴き声(を録音した音) が響き渡っていた。そんなBGMさえ気にせず、開演前のフロアーは大勢のファンたちが騒ぐ声を上げていた。

 ライブは、猛暑を連れ戻すように「夏のOh!バイブス」から幕を開けた。カラッと晴れな気持ちへ導いた演奏へ飛び乗り、メンバーたちがはしゃぎながら歌いだす。鈴姫みさこ、甘夏ゆず、望月みゆの3人は、楽器を弾いたりダンスに参加したりと相変わらずわちゃわちゃとした動きを見せていく。

 恋汐りんご、七星ぐみ、大桃子サンライズは、常にステージのフロントで満面の笑顔を振りまいていた。心にハッピーという言葉が大写しになるくらい、触れた人たちの心をバンドじゃないもん!は無邪気に解き放ちだす。最高に気持ちをアゲてくれる始まりじゃない。いつしかZEPP TOKYOは、汗ばむ夏の景色に塗り替えられていた。

 バンドじゃないもん!は、立て続けにパワーポップなダンスロックナンバー「キメマスター!」をテンション高く歌い、観客たちを「もっともっとイケるでしょ!!」と言わんばかりに煽りだす。突き抜けた明るさを持った演奏に乗せ、彼女たちは華やかに歌い踊り続ける。バンド演奏も加えることでの臨場感は、もちろん。気持ちの揺れに合わせ、彩り豊かに歌声が変化していくところにも強く惹かれていた。

 「おったまげー!!」の挨拶から、MCコーナーへ。「今日がツアーのファイナルです。ここまでいっぱい肝試しをしてこれて良かったなと思います。今日がツアー最後の肝試し。思いきりぶつかってこれますかっ?!」

 会場中の人たちを巨大なオモチャ箱の中へ投げ入れるよう、わちゃわちゃと始まったのが「イニミニマニモ」。とても派手で華やかな音と、どこか螺子の外れたポップ感が胸をワクワクさせる超絶ポップチューンだ。メンバーらのキュートな煽りに負けじと、フロアからは熱い声と拳が突き上がる。サビでは、メンバーたちの可愛い胸キュンな振りを真似ながら、観客たちも一緒にはしゃぎだす。巻いた螺子が2倍速で動き出したような彼女たちの高速チャーミングな動きに触発され、会場中の人たちも汗だくで振り真似ていく。その様が、最高だ。無条件で気持ちを明るく突き上げる、この楽しさがたまんない!

会場を巨大なディスコホールへと変える

バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI(撮影=石崎祥子)

 汗ほとばしるフロアへさらに熱気を降り注ぐように、バンドじゃないもん!は「君はヒーロー」を力強く、でも突き抜けた笑顔で歌唱。軽快にステップを踏みながら、観客たちへハッピーのオーラを届けるメンバーたち。無邪気にはしゃぐその姿を観ていたら、心の中で「君たちこそが僕らのヒーローだ」と熱いエールを送りたくなっていた。

 「拳を高く高く突き上げてぶんぶん振りまわせ」の声を合図に、メンバーたちは手にしたタオルをくるくるまわしながら、爆走する「速い曲」に合わせ右へ左へ大移動。一緒にタオルをまわし騒ぐ観客たち。どんどん熱も速度もアガり続ける。このままどこまで突っ走るのか…と思ったら、いきなり雰囲気はガラッと変化。始まったのが、「箱の中身は何ですか?」と、箱に入ったモノを手で触りながら当てるクイズコーナー。チャレンジしたのが、鈴姫みさこ。

 彼女は、制限時間30秒内で当てようと試みるが、まったく検討はつかず。正解は、「(事務所に置いてある)招き猫」。そのコーナーが終わったところで、ふたたび演奏は「速い曲」に戻り、メンバーも観客たちもタオルを大きく振りまわし、騒ぎ続けていった。

 「肝試しとかいうけどさ、おばけなんか大して怖くないよね」と鈴姫みさこが発言した途端、ステージ上が暗くなり、メンバーたちへ呪いをかけようとする悪霊が現れた。おののく彼女たち。でも7人は、その恐怖を吹き飛ばし、魔除けの呪文を唱えようと、ファンキーかつ華やかなダンスロックチューン「強気、Magic Moon Night」を歌い出した。オカルティックな雰囲気を消し去ろうと、「楽しい」歌の祈りを唱えるメンバーと観客たち。その熱気に怯えたのか、いつしか黒い姿は影をひそめていた。

 「強気、Magic Moon Night」こそが、会場中をアッパーな空気で包むディスコ空間へ変えいく合図だった。騒ぐ観客たちを銀河空間に生まれたダンスフロアーへ連れ出すように、バンドじゃないもん!は「RAVE RAVE RAVE」を披露。メンバーに煽られ、観客たちも一緒に歌いはしゃぎだす。彼女たちの早口なラップ風の歌も刺激的。スペイシーなダンスナンバーに合わせはしゃぐこのディスコタイム、めっちゃ意識をアゲてくれるじゃない。

 会場中の人たちを、ハッピーな楽園へ連れ出した彼女たちは、続けざま手にしたサーチライトを振り回し、観客たちを「イヌイットディスコ」を通し、またも不思議な異世界へ導き入れた。そこに広がっていたのは、心を開放し、祭りに身を捧げた人たちと自由に戯れるアゲアゲな空間。いつしかバンドじゃないもん!は、この会場を巨大なディスコホールへ様変えていた。

 この熱狂をさらに加速させようと、超根明なディスコチューン「YATTA!」を注ぎ込んだ。チャーミングな振りを魅力に、グルーヴィなスペースディスコナンバーに乗せ、踊り騒ぐメンバーや観客たち。その姿に恐れ戦き、いつしか悪霊も退散。「悪霊退散!! やったー!!」「やった、やった、やったー」と、会場中の人たちと一緒にはしゃぐメンバーたち。バンドじゃないもん!は、トランス、ディスコチューンを軸に据えたブロックの中へ今回のツアーに絡めたテーマを取り込み、観客たちと一緒に楽しい物語を描き出していった。

大盛り上がりの中盤

バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI(撮影=石崎祥子)

 「みんなのおかげで悪霊を退散できました」の言葉に続き、完全生演奏による「Back in you」を披露。鈴姫みさこのドラム、望月みゆのベース、いつもはキーボードの甘夏ゆずがギターを弾き、ここでは恋汐りんごがキーボードを担い、七星ぐみと大桃子サンライズはヴォーカルを担当。彼女たちは「Back in you」を、輝きを放ち明るく疾走する青春パンクスタイルにアレンジ。その演奏に触発され、フロアー中から「うりゃ、おい!!」の声が飛び交っていたのも嬉しいじゃない。

 鈴姫みさこのドラムビートからの幕開け。そこへ絡む、望月みゆのベースと甘夏ゆずのギター。3人の熱いバンドセッションへ飛び乗るように楽曲が流れると同時に、演奏は「White Youth」へ。胸をキュッと疼かせる旋律も含みながら。それ以上に華やかさを持って、彼女たちは歌に触れた人たちを光の先へと連れていく。なんて青春の息吹を覚え、気持ちをアゲてゆくロックチューンだ。心沸き立つ楽曲に触発された人たちがフロアー中ではしゃいでいた。胸熱な歌と演奏に、嬉しいくらいに気持ちがキュッと鳴り続けていた。
 キュートでセンチな香りを振りまくように。甘いだけじゃなくビターな刺激も加えながら、バンドじゃないもん!は「ショコラ・ラブ」をプレゼント。秘めた胸の内をキュンと告発するように、メガネ萌えな気持ちをぶつけるよう、とろけそうな心模様を彼女たちは歌に乗せていく。甘えた仕種で「受け止めてこの想いを」と歌われたら、無条件にその想いを受け止めたくなるのは当然だ。ちょっぴり苦みを覚える甘さだからこそ、僕らはその味へ病み付きになってしまう。

 四つ打ちのビートとシンクロするように流れたクラップの音。「もっともっとみんなの声を聞かせてー!」、「みんなの気持ちを一つにしたいから、拳を突き上げるんだー!!」。その煽り声を合図に、会場中の人たちが拳を空高く突き上げ、流れだした「ツナガル!カナデル!MUSIC」へ合わせてはしゃぎだした。

 可愛くも甘えた歌声で迫るメンバーたち。胸をドキドキ打ち鳴らす四つ打ちのダンスロックへ飛び乗り、メンバーたちは大きく手を振り、可愛い熱狂を作りだした。観客たちも一緒に大きく手を振り、このパーティを無邪気な笑顔で楽しんでいく。大きく右手を振りながら、会場中の人たちが合唱したときのテンションのアガり方がたまらなく胸熱だ。

 「Q.人生それでいいのかい?」で生まれた、メンバーと観客たちによる熱い声のバトル。強いメッセージ性を持った歌に刺激を受け、観客たちも汗だくのまま拳を突き上げ、メンバーらへ熱く挑みかかっていた。一体化したパワフルなノリが、とても刺激的だ。メンバーも、2STEPを踏みながらはしゃぎ続けていく。

 「タカトコタン タカトコタン」と謎の言葉が飛び交うステージ。呪文のような言葉に触発され、ラウド&パンキッシュな迫力を持った演奏が、一気に炸裂。激しい楽曲とは裏腹に、歌声には親しみやすさが滲み出ている。そのギャップが魅力的だ。激しくバーストした演奏に触発され、ヘドバンをする観客たち。荒れ狂う楽曲の上で歌う彼女たちの声には可愛さが満ちていた。1曲の中へ多彩な表情を詰め込みながら、バンドじゃないもん!は「タカトコタン-Forever-」を通し、ジェットコースターのように緩急効かせつつも途切れぬ刺激と魅力を、会場中の人たちに与えていった。

 表情は、一変。可愛く心浮遊するようウォーミーな歌声で幕開けながらも、「しゅっとこどっこい」と煽る声を合図に、楽曲は一気にアッパーなスカパンクスタイルに変貌。「しゅっとこどっこい」、とても超絶な破壊力を持った楽曲だ。緩い雰囲気と激しさをミックスしながら、バンドじゃないもん!は会場中の人たちの気持ちを、さらにぶちアゲていった。なんて、マジカルなパワーにあふれた楽曲だ。

バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIに改名

ライブの模様(撮影=石崎祥子)

 「みんな、たくさん汗をかいてますか」「ここからがラストスパートということは、はしゃぎ倒してくれということです」。その言葉を受け、バンドじゃないもん!が届けたのが、とても華やかでカラフルな演奏を通し、会場中の人たちを瞬時に輝きの中へ引き込んだ「NaMiDa」。サビ歌で魅せたラインダンスも、心奪われる魅力。テンション高く無邪気にはしゃぐ彼女たちの姿に、心はグイグイ惹かれていた。そして…

 華やかで派手でカラフル、ハッピーでポップでパワフルなダンスナンバー「青春カラダダダッシュ!」の登場だ。気持ちをグイグイとアゲてゆくパーティチューンへ飛び乗り、誰もが拳を突き上げ、頭からっぽに大はしゃぎ。舞台上のメンバーたちはもちろん、会場中の人たちがパリピとなり、華やかに飛び交う音の上で、みずからの気持ちも派手に飛び散らせていった。

 最後は、これまでの熱狂をすべて包み込み、次の楽しさへバトンを手渡すように「HAPPY TOUR」を披露。彼女たちは「HAPPY TOUR」を通し「今が最高」と宣言しながらも、この楽しさを未来へ繋げようとしていった。バンドじゃないもん!は、つねにこの瞬間瞬間を「HAPPY TOUR」として染め上げていく。だからこそ、その楽しさを未来へ繋げてゆく大切さも知っている。その想いをファンたちに伝え、共に共有していこうと、バンドじゃないもん!は最後に「HAPPY TOUR」を届けてくれた…のかも知れない。

 アンコールは、新たなSEに乗せてスタート。新しい衣装に衣替えたメンバーたちは、ヘヴィでラウドなアッパーチューンへ飛び乗り、土俵(ドラム台)のまわりをくるくるまわりながら「どすこい!!」と熱い叫びを上げだした。なんてラウドでトランシーな楽曲だ。意識を嬉しく破壊する衝撃的な楽曲を魅力に、彼女たちは観客たちを熱く激しく攻めていく。その押せ押せな迫力に、観客たちも負けじと挑みかかる。この表情は、新たなバンドじゃないもん!の姿勢。

 ここで、バンドじゃないもん!から報告が。彼女たちは、次の時代へ繋げる想いを手紙に託して読み上げた。

 仲良し過ぎて何でもぶっちゃけているメンバーらしく、この日のアンコールより、バンドじゃないもん!は、「バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHI」に改名し、グループをアップデート。最後に彼女たちは、改めてここからバンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIの始まりを宣言するように「ハッピーバースデーソング」を届けてくれた。この瞬間に産声を上げた彼女たちの門出を祝うように。

 何より、ここから始まることへのワクワクと、自分たちの未来を指し示す強い意思を込めた楽曲を、新たな幕開けを告げた日に始まりの歌として届けてくれたことが嬉しかった。バンドじゃないもん!MAXX NAKAYOSHIが、ここからどんな心を魅了するワクワクを詰め込んだ物語の扉を開け新たな冒険小説を描き始めるのか、とても楽しみになってきた。

来年よりバンドじゃないもん! MAXX NAKAYOSHIは、怒濤の展開を描き出す。その終わりと始まりの姿を目撃できたのは、嬉しかったこと。さぁ、次は新たに進化した彼女たちの姿を伝えようか。そのときまで、暫し心震わせ待っていてくれ。


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