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ヒトリエ、ツアー集大成で示した生きている証 確信を得た音楽

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『ヒトリエ全国ワンマンツアー2017“IKI”』ファイナル公演をおこなったヒトリエ

 4人組ロックバンドのヒトリエが7日に、東京・新木場STUDIO COASTで『ヒトリエ全国ワンマンツアー2017“IKI”』のファイナル公演を開催した。このツアーは昨年12月7日にリリースしたニューアルバム『IKI』を引っ提げて、1月27日の下北沢GARAGEを皮切りに全国20公演をおこなった。この日は、「ワンミーツハー」や、「イヴステッパー」、バラードの「さいはて」など緩急をつけた全20曲を披露し観客を魅了。wowaka(Vo、Gt)が「今回このアルバムを作って、自分が生まれて初めて立てたような気がした」とMCで明かしたように、その活動に確かな自信を持った堂々たる演奏を見せた。また、3回目となるヒトリエが主催するツーマン企画『nexUs vol.3』を、9月11日に東京・恵比寿LIQUIDROOMで開催することがアナウンスされた。

「行けますか新木場STUDIO COAST!」

wowaka(Vo)

 開演前のフロアは大勢の観客で埋め尽くされていた。照明が暗転し、青い閃光のスポットライトが場内を照らし出す。すると下手からメンバーがステージに登場。ゆーまお(Dr)の轟くドラムビートから、幕開けは「心呼吸」。冒頭からアグレッシブなナンバーを演奏し、シノダ(Gt、Cho)のテクニカルなギターが観客の興奮を掻き立て、拳を豪快に振り回す観客も多く見られた。

 「さあファイナル。行けますか新木場STUDIO COAST!」とwowakaが叫び演奏されたのは「ワンミーツハー」。脳裏に刻み込まれてしまう中毒性のあるメロディと、思わず身を揺らしてしまうビートによって、フロアはモッシュなどがおこなわれる混沌とした光景が広がった。続いて「インパーフェクション」へと突入。赤と青のレーザーがフロアの上を駆け巡るようにギラギラと輝き、シノダのギターが興奮する観客に拍車をかけるように唸りをあげる。

 アッパーチューン3曲を終えると、wowakaの挨拶から「Daydreamer(s)」を披露。楽曲に合わせながらクラップをする観客や、モッシュなどをして観客は応える。「イヴステッパー」ではwowakaがギターを一旦ステージに置き、マイクを片手に<我を忘れて踊れ〜♪>と歌いながら身体を動かしまくる。それに応えるように観客もユラユラと身を揺らし、場内はダンスフロアの様相を呈していた。

イガラシ(Ba)

 ここでインディーズ時代の楽曲「るらるら」を演奏。イガラシ(Ba)のベースラインとシノダのギターサウンドが絡み合い、会場の熱量を上げる。その熱気を保ったまま、wowakaの弾くアルペジオからピアノのイントロへと繋がる「doppel」を披露した。

 照明が落とされ数分経つと、イガラシにスポットライトが当たり重圧感溢れるベースが会場を揺らす。そのベースに重なるようにシノダのギターが響き渡り「極夜灯」を演奏。先程までのアッパーな楽曲とは異なり、落ち着いた雰囲気で曲は繊細に奏でられていく。その後、ミドルテンポの「さいはて」へと繋ぎ、優しくも力強さを持つ楽曲を届けた。

 wowakaは「全国20公演回ってきて今日が最後の日です。20公演回ってきた分、僕ら出来上がっています。こんなもんで終わらせないんで、最後までどうぞよろしくお願いします」とファイナル公演の後半戦に向け意気込んだ。

 続けてwowakaは、「アルバムを作って自分にとってもバンドにとっても、1個ターニングポイントというか。いつだって自分が作った曲は大事なんだけど、その大事なことを更新出来たんじゃないかなと。そういうアルバムを持って全国を回って、その集大成を見せれることを楽しみにしてきました」とツアーに込めた想いを語った。

「もっと素敵な場所に行きませんか」

シノダ(Gt、Cho)

 MCが終わりライブ後半戦へ突入すると、『IKI』の1曲目「KOTONOHA」を披露。wowakaが高速に言葉を連打していく姿が印象的で、その圧巻な光景にステージから目を離せなかった。「僕らと一緒にもっともっと幸せな、もっともっと素敵な場所に行きませんか?」と続けて披露されたのは「ハグレノカラー」。

 赤と青のレーザーが会場を照らし、wowakaが「みなさん誰の音を聴きたいですか?」と投げかけると、間奏からバンドセッションに突入。ゆーまおがパワフルなドラムソロを展開し、イガラシがアタッキーなスラッププレイを見せた。そのステージングに観客も盛大な拍手を送る。続いてシノダはスピーディーなギターソロを披露。3人のサウンドが絶妙に折り重なり、最後にwowakaのギターソロで場内のボルテージはマックスに。4人のグルーヴが観客を恍惚とさせた。
 
 ダイナミックな音で観客を魅了したあと「5カウントハロー」、「踊るマネキン、唄う阿呆」を続けて披露。色鮮やかなレーザーが彼らの演奏にアクセントを加え、その勢いは止まることがなかった。そして、ゆーまおがフロアを煽りながら鋭利な金属的サウンドが特徴の「シャッタードール」へと続いた。

 wowakaは今まで苦悩を感じて生きてきたことに触れながら、アルバムを作った想いを明かした。「今回このアルバムを作って、自分が生まれて初めて立てたような気持ちがあって。ライブに来てるみんなの顔を見てると、みんな似た者同士なんだな、俺に似て不器用だな、愛されたいんだな、なんか抱えているんだなってことを凄く感じてて」と観客への共感を明かした。

 さらに「そういう人たちが一同に会せば、凄い非日常が生まれるような気がして。そんな予感だけで、俺はバンドを始めたんだけど。その予感は間違ってなかったんだなってアルバムを作ってて思ったし、今まさにそう思っています。みんなの顔が見れて俺の口で言葉を発して、歌を歌えていることが、どれ程特別なことかっていうのを自分自身凄く感じました」と今までの活動が肯定されたような気持ちを語った。

ゆーまお(Dr)

 そして「今日この日にこの場所で、ここにいるみんなと一緒にこの歌を歌うためにステージに上がりました」と言い、彼らがずっと歌いたかったという楽曲「リトルクライベイビー」を演奏。
 
 ラストには、アルバム『IKI』の最後に収録されている「目眩」を披露。「明日を生き抜いてほしい」と曲で示しているかのように、彼らは最後の瞬間まで熱い想いを観客にぶつけていた。
 
 本編が終了した後も、フロアからは「もう1回! もう1回!」というアンコールが沸き上がった。その声援に応えるかのように再びメンバーがステージに登場。「残念ながら僕らまだまだいけるんだ。僕らと一緒に踊ってくれますか?」と言い、アンコールでは「カラノワレモノ」、「センスレス・ワンダー」、「SisterJudy」、「モンタージュガール」の4曲を披露し、全20曲というボリュームのあるラインナップで、彼らの生き様を力強く見せたファイナル公演は幕を下ろした。

(取材=橋本美波)

セットリスト

『ヒトリエ全国ワンマンツアー2017“IKI”』

01.心呼吸
02.ワンミーツハー
03.インパーフェクション
04.Daydreamer(s)
05.イヴステッパー
06.るらるら
07.doppel
08.極夜灯
09.さいはて
10.KOTONOHA
11.ハグレノカラー
12.5カウントハロー
13.踊るマネキン、唄う阿呆
14.シャッタードール
15.リトルクライベイビー
16.目眩
〜Encore〜
EN1.カラノワレモノ
EN2.センスレス・ワンダー
EN3.SisterJudy
EN4.モンタージュガール


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