シンガーソングライターの近藤晃央とダイスケが12月22日、東京・shibuya duo MUSIC EXCHANGEで『チキン達のクリスマス~近藤晃央×ダイスケ クリスマス2マンライブ~』をおこなった。各々が11月にリリースした両A面コラボシングルの「涙腺」と「スノウドーム」を引っ提げて、東京と大阪の2公演をおこなうもの。ライブはシームレスに、時に互いの楽曲をボーカルチェンジして歌い、コーラスや楽器演奏で参加したりと通常の2マンライブとは趣を変え、まさにデュオであるかのように展開。「クリスマスチキン」など、今回のシングル曲を含め全16曲を演奏。トークでも2人の仲の良さが滲み出た話題で楽しませた。初日となった東京公演のもようを以下にレポートする。
情緒不安定なライブとなっております
「ジングルベル」などX'masソングのBGMが流れる中、続々と客席に集まるオーディエンス。貴重な2人によるコラボレーションに期待感が高まっていくのがわかる。ステージ中央にはクリスマスツリーも置かれX'masムード満点。
「クリスマスチキン」の歌詞をサウンドにしたSEが鳴り、暗転するとステージに置かれたツリーが点灯。サポートメンバーに続いて近藤とダイスケの2人がステージに登場した。近藤はアコースティックギター、ダイスケはバンジョーを手に取り、コラボ曲「クリスマスチキン」でライブの幕は開けた。イントロで2人による<Wishing you a happiness at Xmas♪>のハーモニーが響き渡り、クリスマスが嫌いというテーマで作り上げた、ちょっとひねくれたクリスマスソングをプレゼント。
続いて、近藤がステージを後にし、ダイスケのソロで「あいわな」、「ぼくにかける魔法」と2曲連続で披露。ダイスケの真骨頂とも言えるジプシーを感じさせるギターアレンジと、力強い歌声で渋谷duoを満たしていった。そして、次は近藤の、温もりのある優しい楽曲「かわいいひと」、エレキギターにチェンジし、アッパーロックチューンの「ビビリーバー」とコントラストをつけ、ダイスケとはまた異なる趣のステージを展開。
ここで、初めてのMC。近藤が「2マンへようこそ! 今日はお互いが交互に、入れ替わり立ち替わり情緒不安定なライブとなっております」とユーモアを交え説明。ダイスケは「やっとこの日が来たよね」と8月から始まったこのプロジェクトに安堵のコメント。「今日は色々な僕らが見せられるよね」と語り、2人で過ごしたクリスマスの思い出など、2人の仲の良さが滲み出たトークに会場も和んだ。
そして、2年前のクリスマス、2人でカラオケに行った時を再現したかの様な、互いの曲を歌うコーナーへ。ダイスケをメインボーカルに、近藤の「心情呼吸」を訴えかける様に歌い上げ、今度は2人のクリスマスの思い出の曲でもあるという、ダイスケの曲である「ドレミ」をメインボーカルは近藤が務め、ダイスケワールドを近藤の色で彩っていった。今回のコラボならではのコーナーとなった。
ダイスケが「学生時代の恋人に向けて作ったラブソングがあるんですけど、皆さんの中で大事な人を想像しながら聴いてください」と1stアルバムに収録されている「惑星プラトニック」を披露。ゆったりとしたリズムでラブソングを語りかける様に歌い上げた。その姿にオーディエンスもじっくりと耳を傾けた。
そして、「赤鼻のトナカイ」のメロディがピアノで奏でられると、近藤がステージに登場し「誰かのプレゼントを預かって届けるのがサンタだと思っています。アーティストも一緒です。誰かから預かった想いをサンタとしてお届けします」と5枚目のシングル「ブラックナイトタウン」のカップリング曲「わたしはサンタクロース」を届けた。この時期にしか聴くことが出来ないであろう楽曲。エンディングでは<LaLaLa〜♪>と会場全体でシンガロングが響き渡った。
後半戦はダイスケの「ボク☆ロケット」を披露。近藤もステージ端でコーラスに参加。サビではステージ上の熱気に応戦するかのように、会場全体でタオルがクルクルと回転する光景が広がった。ダイスケの宇宙までも飛んでいけそうな張りのある歌声で、オーディエンスのテンションも高くなっていく。
2人が奏でる音楽、言葉を信じてこれからもついてきてください!!
そして、近藤が「後半戦盛り上がっていけるのかな!? 勝負だ! ついてこい!!」とラテンテイストあふれる「テテ」へ。アグレッシブな楽曲で、「ボク☆ロケット」でついたダイスケの勢いを受け継ぎ、さらにそれをブーストさせるかのごとく加速度を上げていく。激しいステージングとともにアコギをかき鳴らす近藤のパフォーマンスも印象的であった。さらに、そこからスパニッシュな「操り人形劇」へ突入。音源同様ダイスケもアコギで情熱的なリードサウンドを奏でる。会場を巻き込んだ手拍子と2人のアコギの厚みあるストロークが、心をかき乱してくるようだった。
ダイスケは「11月からリリースイベントを2人で回ってきて、『スノウドーム』は僕だけの曲と言うより、もう2人の曲のような感じがするんだよね。いつも楽屋で一緒に歌ってくれていたし」と楽曲への心境も話した。それに対し近藤は「スノウドームのドは近藤の“ど”ということだね」とツッコミ。ダイスケも「それでいいや…」と渋々納得とトークのコンビネーションも冴え渡るっていた。
そして、「スノウドームは思い出と似ていると思った。中のものには決して触ることができない。思い出も綺麗なままでたくさん閉じ込めてしまっているんですけど、決して戻ることはできない」。そんなダイスケの思い出をラブソングにした11月リリースの「スノウドーム」を、近藤のコーラスとともにファンタジックに叙情的に届けた。ミラーボールも回転しキラキラとした、スノウドームを表現しているようであった。
近藤は今回の企画、2人でおこなう意味を次の通りに語った。
「ただのデュオじゃない、2人でやるからこそ生まれるものがあったらいいなと、このクリスマス2マンに向けて音楽届けてきました。そして、それは自分たちへの見返りもあって、刺激しあって時には慰め合って、良い関係をもっと良い関係にしてくれた。ありがとうの言葉だけでは伝えきれないけど、皆さんにももちろん感謝だし、まずはダイスケに感謝したいです。ありがとうございました」
ダイスケも「ミュージシャンの近ちゃんをそばで見ていて、すごく刺激的だったし成長できた」とお互いに実りあるプロジェクトだったことを語った。
さらに近藤はこう続けた。
「僕らは友達として時々会って、日々こんなことあったんだとか、辛かった時期に音楽やめたいなとか、そういう感情も2人で共有していた時もありました。気がつけばあの時は愚痴をこぼしていただけだったけど、弱さを共有して、今は喜びを共有できて、音楽も一緒に作れて、みんなに観に来てもらえて本当に言うことないです。今2人のアーティストは喜びを発信しています!皆さんは2人が奏でる音楽、言葉を信じてこれからもついてきてください!!」
本編ラストは近藤の先月リリースされたバラード「涙腺」をバンドサウンドで披露した。音源とはまた違った趣で奏でられ、近藤もギターを持たず、ハンドマイクで情感を込めエモーショナルに歌い上げる。そして、左手でメッセージをジェスチャーするかのように表現。体全体を使ったステージングと歌声でオーディンスを魅了した。
アンコールを求める手拍子とコールに再びステージに戻ってきた2人。「みんな元気あるかな? みんな猿は好きかな?」と問いかけダイスケと近藤による「類人猿」を演奏。ポップでノリノリのダイスケワールド全開な楽曲に、近藤のテイストも随所に光るナンバーで会場のボルテージも最高潮。近藤の<ワオ!>の渾身のシャウトも起爆剤に。
「クリスマスチキンを召し上がれ」と投げかけ、ラストはオープニングで披露した「クリスマスチキン」をアコースティックバージョンで再び披露。リリースイベントで披露してきた2人だけによる演奏。オープニングのバンドサウンドとはまた違う世界観で、切なさを漂う空間を作り上げていった。ステージ上もランプのような温かい灯がともり、一足早いクリスマスを彩り、静かに2人の奏でる音に酔いしれながら、聴き入るオーディエンス。心地よい余韻を残しながらライブの幕は閉じた。
近藤晃央とダイスケ、相反する性格を持つ2人のアーティストが奏でるサウンドに酔いしれた時間だった。楽曲クオリティも優ることながら、MCでのトークでも普段は中々見ることの出来ないナチュラルな2人を堪能。お互いの魅力をさらに引き出していた。これで終わりではなくまた2人の奏でる音楽を同時に味わいたいと思ったスペシャルな一夜であった。
(取材・村上順一)
セットリスト
01.クリスマスチキン 02.あいわな 03.ぼくにかける魔法 04.かわいいひと 05.ビビリーバー 06.心情呼吸 07.ドレミ 08.惑星プラトニック 09.わたしはサンタクロース 10.ボク☆ロケット 11.テテ 12.操り人形劇 feat. ダイスケ 13.スノウドーム 14.涙腺 ENCORE |









ライブ情報
近藤晃央 ONE MAN LIVE 2017「分泌音」 1月27日(金) 名古屋公演 @ E.L.L 開場18:30 開演19:00 2017/1月29日(日) 東京公演 @ Shibuya WWWX 開場16:00 開演17:00 前売:4500円+ドリンク代 全自由 ダイスケ 5th Anniversary Tour 2017 No You No Live ~A NEW DEPARTURE~ |