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つるうちはな、反逆から“超平和”へ「サルベージ」リリース記念単独

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 シンガーソングライターのつるうちはなが12月15日、東京・新宿Live House Marbleで『つるうちはな「サルベージ」リリース記念ワンマン』をおこなった。ライブは10月23日にリリースされた、メジャーデビューアルバム『サルベージ』のリリースを記念しおこなうというもの。無重力バンドとともに『サルベージ』の楽曲を中心にアンコールでは新曲「さみしくってキラキラだ」など全17曲を披露した。聴くものを鼓舞させてくれる生命力に満ち溢れたライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

これが私の愛する、つるうちはなのワンマンです!

つるうちはな(撮影=舞草香澄)

 地下にあるライブハウスの扉を開けると飛び込んできたのは、Marbleの店長特製のカレーの香り。観客もカレーを食しながら開演時間を待っていると、どこからともなくやってきたつるうちはなが「10分押すから」と宣言し、カレー食べて待つようにと言い残し颯爽と楽屋へと戻っていく。

 予告通り10分経つと暗転。つるうちをサポートする無重力バンドのメンバーに続いて、つるうちはなが元気いっぱいにステージに登場し、アルバムの1曲目を飾る「新次元ガール」でライブの幕は開けた。続いて「おまじないを君に」はロックバンドさながらの盛り上がりを見せた。アグレッシブなピアノ演奏と心にストレートに心に刺さる歌が心地よい。

 「メロディー」は非常に楽しそうに演奏する彼女の笑顔が印象的。生き生きとした演奏に乗って、つるうちのエナジーあふれる歌声がライブハウスに響く。ステージとフロアが一体となったパフォーマンスだった。

 MCでは「メロディー」での観客の反応につるうちは「私のファンってみんな勝手だなって(笑)。それが本当に愛おしくって、光景がすごかった。号泣している人もいれば、オイオイと盛り上がっている人もいる。これが私の愛する、つるうちはなのワンマンです!」と嬉しそうに話す姿が印象的だった。

 怒涛のアップチューン「タイムライン」に続いて、「アルバムで唯一の変態的な曲をやります!」と投げかけ、美しいピアノの旋律から「あの子の裸を見たくない」へ。妖艶さもあるサウンドと衝撃的な歌詞がドラマチックに紡がれていく、つるうちのオリジナリティあふれる一曲は、真っ赤なライティングも楽曲を後押し。

つるうちはな(撮影=舞草香澄)

 つるうちは「音楽は楽しい!」と喜びの声を上げ、「apple in my eyes」を披露。坪光成樹(Ba)がグロッケンをイントロで演奏し、ギターもエレキからアコースティックギターにチェンジし、場面を一転。そして、つるうちのカウントから「tears for dear」へ。観客もリズムに揺られながら、耳を歌声に傾ける。聴いているだけで、溜まっているものを解放してくれる、そんな感覚を与えてくれた。叙情的なピアノの旋律がグッと世界観へ誘った「天国」。徐々に熱を帯びていく歌声。しっとりとした楽曲に、エモーショナルな歌で魅了した。

 ここでゲストにギターにアルバム収録曲、2曲の編曲を担当したタカタタイスケ(Gt)が登場。その2曲を披露することに。まずはゆったりとした「花」を披露。この曲はE-BOW(振動電流の作用により弦振動を起こし、ロングサスティーンを生み出すアタッチメント)を使用したkonore(Gt)とのツインギターのハーモニーが印象的で、独特な浮遊感で現実から解き放ってくれるような感覚。そして、アルバムのラストを飾る「やさしい魔神」では、角谷正史(Dr)による軽快なビートに合わせ、観客もクラップで一体感を演出。ほっこりとした空間を作り上げた。

来年からのテーマは「超平和」

つるうちはな(撮影=舞草香澄)

 MCではこれまでの反逆というテーマは終焉を迎えると話す。その理由に「もう反逆は飽きた。誰とも戦う必要ないと気づいちゃった」とコメント。来年からのテーマは真逆の「超平和」だと告げ、ライブもラストスパート。

 つるうちはなのポップセンスが詰まった「STEP」から、身体を動かしたくなる「パープルサンデー」と立て続けに演奏。観客も一心不乱にクラップで盛り上がる。そして、髪を振り乱し歌唱した「宇宙の神秘女の子」は、疾走感も相まってボルテージは最高潮まで高まっていく。本編ラストは、迫真のパフォーマンスが鮮烈だった「ぶっちぎって光」でステージを後にした。

 アンコールの手拍子に応え、つるうちがステージに再び登場。「音楽と歌で全部伝えられている。すごく幸せ。みんなの声が音で聞こえてきて、怒号や叫びみたいなものが聞こえてきて、あれはきっと心の声だよ」とステージで感じていたこと話した。そして、「どうしてもこの曲は一人でやりたくて、この曲があるから80歳でも歌えると思う」と「ハレルヤ」を、弾き語りで届けた。人生賛歌とも言える歌は、多くの人を惹きつけていく。

 再びバンドメンバーを呼び込み、つるうちはなは「サルベージする歌を届けられるように来年も頑張ります」と意気込みを告げ「あいゆうえにい」を投下。会場全体でサビを合唱し、一つになっていく。これぞライブの醍醐味だ。声を上げずにはいられない悦楽の空間。

 最後の曲に行く前にみんなで乾杯し、昨日出来たばかりの新曲を披露することに。つるうちは、どんなに幸せだったとしても、一人になった時に自分は無価値な人間だと感じてしまうことがあるという。「もう無理だと思う夜が沢山あって、そう思う自分を許してあげたい。感情はその人のものだから誰とも比較はできない、あなたの中の真実だと思うので、ダメなところもあるけど、生き延びていればエライと褒めてあげよう」と楽曲に込められた想いを話した。

 「生きていてくれて嬉しいなと思っています」と告げ演奏したのは、出来たばかりの新曲「さみしくってキラキラだ」。自分の中の弱さを肯定してくれる一曲を弾き語りで届け、涙する観客の姿もあった。感情にストレートにアクセスして来る歌で、『つるうちはな「サルベージ」リリース記念ワンマン 』はフィナーレを迎えた。

つるうちはな(撮影=舞草香澄)

 つるうちはなの歌と曲は、聴くものの感情を揺さぶる。音源以上にライブだとそれを痛感させてくれるものがあった。少なくともこの場にいた人たちを“サルベージ”してくれたことは間違いない。まだまだつるうちはなのサルベージの旅は続いていく。

セットリスト

『つるうちはな「サルベージ」リリース記念ワンマン 』

12月15日@東京・新宿Live House Marble

01.新次元ガール
02.おまじないを君に
03.メロディー
04.タイムライン
05.あの子の裸を見たくない
06.apple in my eyes
07.tears for dear
08.天国
09.花
10.やさしい魔神
11.STEP
12.パープルサンデー
13.宇宙の神秘女の子
14.ぶっちぎって光

ENCORE

EN1.ハレルヤ(弾き語り)
EN2.あいゆうえにい
EN3.さみしくってキラキラだ(新曲)


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